藍染めとはなにぞや
其の六
『染色について』
さて、とうとう藍染めたる【染め】のお話に辿りつきました。
染色の仕方も染師によって様々のようですが、こちらには私の学んだ方法で書きます。
【量】
藍染めの染色は甕(かめ)の大きさによって、1日の染色量が変わります。
1/3俵(約15kg)の蒅で藍建てした私の1石(いちこく:180L)の甕では、1日に約2800gを染色することが出来ます。2800gといっても、その重さの品を1度に染色するというわけではありません。
ex.200gのシャツ+260gのワンピース=計460g
一品は1日1回染色するわけではなく、数回染色する必要があります。
ですので、
ex: 460g×6回=2760g
という考え方をします。
少な過ぎても多すぎても藍にとって好ましい状態ではなく、多いと特に、藍の元氣をなくす原因に繋がります。適量を守り、1日置きに染めます。程よく染め、しっかり休息をとらせることが藍の健康管理に結びつきます。
【染色】
染色前によく水に浸しておく必要があります。その濡れた品をしっかり絞り、よく拡げてから、染液をなるべく荒だてぬよう、そっと液中に潜らせます。荒だてると染液はそれだけ酸化します。無用な酸化は染色の期間を短縮することに繋がるため、染色中はそこに氣を配る必要があります。
染液の中では品をムラなく染色するため、空氣を抜きながら全面に染液が行き渡るようよく拡げ、液面から出ないように静かに括り続けます。
時間は品の質や大きさ等で適当な時間行います。何十分も括ることはありません。適当な時間が経過したらそっと引き上げ、また染液を荒だてぬよう液面近くでしっかり絞ります。絞ったものをよくひろげて酸化発色させ、また液に浸します。
一日の染色の最後には水中で更に酸化発色させ、余分な染液をある程度すすいで落とします。
この作業を好みの色になるまで繰り返しますが、1日では染め終えず、染色したものを半日ほど水に浸してから中干し(染色工程中に一度干す作業)し、別の日にまた染色します。中干しをした方が色ののりがよく、堅牢度も上がるためです。
【染色後】
染色後はすすいだ後、上記のように水に半日ほど浸して、ある程度灰汁抜きをします。それだけでは抜けきらないので更に灰汁や中性洗剤を用い仕上げの灰汁抜きをします。基本的にここで完了ですが、色止めが必要と考えた場合、海水と塩分濃度が同程度の塩水に半日以上浸した後、水洗いし干して完了します。ですが、この方法で色が全く落ちなくなるわけではありません。私はしていません。
藍は付着染料のため、仕上がった品は僅かに厚みが出てパリッと頼もしい感じになり、ほかの草木染めのように木綿や麻などの植物性の布に染まりづらいこともなく、しっかり染色されます。種類によりますが、布ものは若干縮みます。