藍染とはなにぞや
其の五

『藍建てについて④』

 今回は違った角度から藍建てについて説明を加えたいと思います。

『藍建て』にも数種方法があります。

『天然灰汁発酵建て』
 天然素材のみで建てる方法で、これで染めたものが謂わゆる『本藍染(ほんあいぞめ)』或いは『正藍染(しょうあいぞめ)』です。この名称は下記に記す化学薬品等を使ったものと一線を画すために用いられた表現と考えられています。

 蒅に【天然素材のみ】を加える全般を指すため、添加する素材は染師により様々で、私がここまででご紹介した素材の限りではありません。

 私がご紹介した素材に於いての染め上がりの色は、回数を重ねなければ濃い色に染色出来ないものの、染め色は冴え、深く立体的で、色の底に赤味を始め複合的な色味を帯びていることが確認出来ます。かといって、建てや管理の見立てが甘かったり、染め方が簡易であれば、その美しさは期待出来ません。天然建ての難しさの所以です。それらがなされた染色であれば、お洗濯の頻度にもよりますが、経年と共に赤味は消え青が冴えていき、長い年月その藍色を愉しむことができます。

 

『化学建て』
 蒅の還元菌を活発にするため、天然素材に代わり、化学薬品を用いて建てる方法です。
 天然素材で建てるような藍の状態の微妙な様子を感知する必要がなく、簡単に建てることが出来、管理も比較的容易です。天然で建てたものと匂いも随分違います。染め上がりは一見鮮やかですが、最初の数回で濃い色が染色出来る分、深みがなく平面的です。染色の出来映えにあまり差がでません。色褪せも早く見受けられます。

 

『混合建て』
 蒅を自然素材で建てたものに科学建てしたもの或いは合成藍を建てたものを足したものです。足し続けるとずっと使えます。『割建て(わりだて)』とも呼ばれています。

 化学染料が輸入されたころからの方法で、化学染料に対抗するため、藍の色味を残しつつ量産出来るよう、このような方法が編み出されたということです。

『合成藍』
 蒅は用いず、原料はコールタールの中から取り出され物質で作られた染料です。その物質が科学的に藍の色素と同じ成分のため、藍染として認められています。こちらも化学薬品を入れると藍を建てた時と似たような状態になりますが、匂いは全く違い外観は荒い顆粒状です。管理も必要がありません。とても手軽に誰でも出来る藍染です。『インディゴ・ピュアー』とも呼ばれています。染め上がりは『化学建て』より更に素早く着色し、一回目からとても濃い色が染まります。色褪せもやはり早いです。

巷で『藍染』と称されて販売されているものの多くがこの合成藍を使っているようです。

 このようにひとくちに『藍染』と一括りに販売されているものも、紐解けば、ひとつひとつにはっきりとした違いがあります。その品を身につければ、経年と共にその変化は歴然とします。

 お氣に召すものとの出逢いが何より一番大切かとは思いますが、それにどのような染めが施されているのかを知ることができれば、尚更よいのではと考えます。