藍染めとはなにぞや
其の二

『藍建てについて①』

 蒅(すくも)を手に入れたからといって、すぐに染色が出来るわけではありません。
 蒅は葉や根などを煮出す一般的な草木染め方法とは異なり、中性(7ph)の水分、謂わゆる普通の水にそのまま色素を溶かすことが出来ないからです。そのため、染色が出来る状態にするための前作業が必要となります。

 その作業を『藍建て(あいだて)』といいます。
 蒅の中にいる還元菌を使い、発酵させ、藍色の色素を水分に還元させる作業で、この作業で後の染色の仕上がりが決まるといっても過言ではない、要となる非常に重要な作業です。

 染色前のここからが『染師(そめし)、染め物師』又は『紺屋(こうや)』と呼ばれる者の仕事となります。
(*現代は蓼藍の栽培から蒅作り、染色まで全てなさる染師も居ます。)

 

 『藍建て』に必要な原料は

【蒅】蓼藍を発酵させたもの。
【灰汁(あく)】木灰(きばい)に熱湯を注ぎ抽出した強アルカリ(10〜13ph)の液。
【石灰】強アルカリの粉。グラウンドのラインを引くあの白い粉です。
【日本酒】菌の活動を助けるための糖分。
【麬(ふすま)】小麦を粉にする時にできる皮のくずでこちらも菌の活動を助けるための糖分。
【水】軟質の天然水を引くのが望ましく、私の目下の目標です。幸い札幌の水道水は良質な軟水です。

【誘い藍】すでに染色に使われている活発な還元菌が含まれた染液で、発酵をよりスムーズに促進させる。(こちらは入れないで建てる方もいます。)
 

 蒅は少し寝かせた方がよいですが、どれも良質で新鮮なものを用います。

 この化学薬品を一切使わない方法を『天然灰汁発酵建て(てんねんあくはっこうだて)』といいます。

 それらを混ぜた液の中で、蒅の中の強アルカリの環境を好む還元菌が働き出し、最適な温度を保つことで発酵が始まります。この発酵の段階で、初めて色素が水溶性のものに変化し、染色が可能な状態になります。ですが染液の中では藍の色の成分はまだ青くはありません。その染液に浸したものを空気に晒し酸化反応を起こすことでやっと藍色に発色することとなります。

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