藍染めとはなにぞや
其の一

『藍染めの原料のこと』

 藍染めの藍色は、蓼藍(たであい)という植物がその色素を持っています。藍色に染色出来る植物の数は多くはなく、その植物は世界中で重宝されてきました。

 

 蓼藍はそのままの生でも染色出来ますが、色は薄く、堅牢度(けんろうど:色の定着力の度合)が弱く、蓼藍が育つ時期にしか染められないため、先人は濃く染まり、堅牢度が高く、いつでもどこでも染色が出来る「蓼藍を発酵させる」という方法を編み出しました。その発酵した状態の蓼藍を草冠に染めると書いて『蒅(すくも)』といいます。

 蒅はそれを作る専門の職人がいて、『藍師(あいし)』と呼ばれています。藍師として生業を立てている家はもう数少なく、特産地であった徳島に於いても数軒しかない現状です。

 藍師は蓼藍の栽培から始まり、刈り取ったものを葉や茎など分別し、大きな蔵に入れ、その膨大な量の蓼藍に水を打ち、ひっくり返し、ムシロを掛けて発酵させるという重労働をおよそ100日かけ行い続けます。その自然発酵により、蔵の中の温度は上がり、蓼藍自体は凡そ70℃という高温に達します。

 そうして出来上がったものが『蒅』です。

 蒅となった蓼藍はその元の面影はまるでなく、土のようになり、独特の匂いを放ちます。

 そんな貴重な蒅を用いて、初めて藍染めのスタートラインに立てるのでした。






 

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